副社長が私を抱く理由~愛と殺意の先に~
翌日。
涼花が出勤してくると、エレベーターの前で有香が待ち伏せしていた。
「北里さん」
近づいてくる有香に、涼花はなんとなく嫌な感じを受け警戒の眼差しで見ていた。
「北里さん。今日は地味なのね、昨日はいつもと違うってみんな言っていたけど」
嫌味を言いたくて呼んだの?
そう思った涼花。
「ねぇ北里さん。私、バツイチなのよ。まだ1歳の子供がいるけど、ほとんど元旦那の親が見ていて合わせてもらえない状態で週に一回だけ会えるの。だから、夜は暇しているんだけど。今日の夜、一緒に夜ご飯食べない? 」
「いえ…本日は予定があるので」
「え? そうなの? じゃあ明日は? 」
「明日も予定があります」
「え? つまんないこと言うわね。ご飯くらい、いいじゃない」
「ごめんなさい。そうゆうお付き合いは、控えておりますので」
それだけ言うと、閉まりかけたエレベーターにサッと乗り込んで涼花は先に行った。
「逃げるなんて許さないわよ」
エレベーターを見て、有香は怪しく微笑んだ。
今日も1日が始まる。
総務で勤務している有香は、あまり仕事ができる方ではなくいつもやる事が遅い。
しかも、勤務中に携帯を触って私用メールを送ったり、ネットを見て書き込みしたりしている。
今日も勤務中に、携帯を触りながら仕事をしている有香。
「…これがいいわね…」
何やらメールを見て、有香はニヤッと笑った。
そのままメールお送った有香。
「…見てらっしゃい。私の誘いを断ると、どんな目にあうか思い知らせてあげるから」
いつも通り1日が始まり午前中は会議や資料作りで、バタバタと忙しく仕事をしていた涼花。