副社長が私を抱く理由~愛と殺意の先に~

「部長、この書類に印鑑お願いします」

 色気を醸し出すような声で、営業部長の下へやって来たのは。
 まるでホステスのような雰囲気で、派手な柄のワンピースに赤いハイヒールを履いている女子社員。

 この女子社員は春山美也(はるやま・みや)。
 現在42歳になり未だに独身。
 背が低い為ハイヒールを履いてごまかしているようで、いつも派手な格好で耳には大きなピアスをつけ、指輪もつけていかにも大金持ちのように見せかけているが、家は借金だらけで光熱費は滞納して、家賃も滞納しているとの事。

 営業部長を狙っていた事もあるが、相手にされえず結婚され、次に宇宙を狙っていたが相手にされなった。
 今は若い男性社員に手を出して狙っているとか。

 印鑑を押してもらい、席に戻った美也。

 



 お昼になると、美也はカフェテリアに行きお弁当を食べ始めた。


 他の社員達もカフェテリアにやって来た。


「あ…」

 美也は宇宙の姿を見かけると、駆け寄って行った。


「副社長! 」

 若作りをした声で駆け寄ってくる美也に、宇宙はゾクっとした。


「副社長。今からお昼ですよね? 私、副社長にお弁当作って来たんです」

 と言って、いかにも女子が食べるような可愛いお弁当箱を差し出した美也。

「これどうぞ。食べて下さい」

 差し出されたお弁当に、宇宙はちょっと困った顔をしていたが。

「いや、俺も弁当持って来ているから」

 と言って、持っているお弁当を見せた。

「え? 副社長、お弁当なんですか? 今まで、社員食堂が外食じゃなかったですか? 」

「そうゆう時もあるが、今日は持って来ている。お気遣いなく」


 それだけ言うと、そのまま宇宙は去って行った。



 去り行く宇宙をじっと見ている美也。


 宇宙は1人でお弁当を食べている涼花の下へ歩み寄って行った。


「あの人…北里さん? …副社長がなんで? 」

 ちょっと嫉妬したような目で美也は宇宙を涼花を見ていた。

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