副社長が私を抱く理由~愛と殺意の先に~

 午後。

 副社長室で仕事をしている宇宙。
 仕事の量が多いようで、真剣な目をしてパソコンを見ている。


 コンコン。

「失礼します」

 
 やって来たのは美也だった。


 宇宙は目だけ向けた。


「副社長。お昼はどうしてお弁当食べてくれなかったのですか? 」

 はぁ? そんな事を言いに来たのか?

 宇宙は黙ったまま目を背けた。


「あのお弁当は、副社長の為に作ってきたお弁当ですよ。いつもは食べてくれるじゃないですか! 」


 なにを言っている? 一度も食べたことはないが? 

 宇宙が黙っていると、美也はデスクに近づいてきた


「副社長。もしかして、照れていたのですか? みんながいるから」


 宇宙は小さくため息をついた。

「悪いが、今は仕事中だ。プライベートな話なら、遠慮してもらえないか? 」

「酷いですね副社長。私達、こんなに愛し合っているの…」


 なんだ? こいつは…人の話聞いていないのか?

 宇宙が呆れていると…


 プチッ…プチッ…
 美也はブラウスのボタンを自分で引きちぎった。


「副社長…私を抱いて下さい! 」

 バッとブラウスを広げて、美也は宇宙に迫って行った。


「わぁ! ちょっとなんだ? 」

 宇宙は驚いて立ち上がった。


「抱けますよね? 副社長…何度も私を抱いてくれたじゃないですか? 」

 迫って来る美也が怖くて、宇宙はデーターを保存してパソコンを閉じた。


「この前だって一緒にホテルにいてくれたじゃないですか。…。副社長から誘ったんですよ? 」


 迫って来る美也を交わして、宇宙は副社長室を出て行った。
 
「なんだアイツは…頭がおかしいのか? 」

 逃げるように副社長室を出てきた宇宙。

 だが…


「副社長! 待って下さい。逃げないで下さい! 」


 いつの間にか、ブラウスを脱ぎ捨て、上半身は下着だけの姿になり追いかけてきた美也。


「な、なんなんだ? 」

 
 宇宙は恐怖を感じ、社長室へ逃げ込んだ。

< 47 / 94 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop