副社長が私を抱く理由~愛と殺意の先に~

「一番近い報告では、総務の男性社員が春山さんに無理やり誘われ。断ると、追いかけてきて強引にホテルに連れ込まれたそうだ。そして無理やり既成事実を作り上げ、慰謝料請求意をしている。社内では春山さんが、男性社員に無理やりホテルに連れ込まれたと言っているが。目撃者もいて、明らかに春山さんが付きまとっていたそうだ」
「確かに、俺も春山さんに関しては良い事を聞いたことがない」

「営業部でも問題になっている。次から次へと、男性社員が狙われていると。しかもみんな、お金持ちばかりを狙っているとかだ」
「しばらく自宅待機をしてもらうのは、できないの? 」

「それを以前行ったが。自宅待機を命じられても、出勤してきたことがある。まぁ、もう7年も前の事だが」
「そんなに前から? 」

「ああ、彼女には何を言ってもまともな言葉は通じない。異動を命じると、訴えるとか言って弁護士を連れて来たこともあった。こちらも戦う準備はしたが、彼女は一方的に取り下げて事は収まったのだが…あの時は、とても悲しい事が起こったからな」


 悲しい事と聞いて、涼花はぴくッとちょっとだけ目を上げた。


「悲しい事って、何があったの? 」

「総務の女子社員が一人、亡くなったんだ。階段から落ちて、発見されたときは既に死亡していたんだ」
「階段? なんで階段から落ちたの? 」

「誰かに呼び出されたようだ。しかし、そこはハッキリしない。その女子社員は、春山さんに目をつけられていたようだ。ひと際目立つ子で、男性社員からは好感が高い子だったからな」
「ふーん…。そんな事があったんだ。あの階段…」


 そ知らぬふりをして仕事をしながら、聞いている涼花だが、ちょっと目が泳いでいた。

 ジャケットを脱いだ涼花は、可愛いピンク系のブラウスだけになっていた。
 ブラスだけになると涼花がちょっと痩せたのが判る。
 頬のラインもほっそりしていて、首から鎖骨にかけても前に比べると骨ばっていた。
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