副社長が私を抱く理由~愛と殺意の先に~
「あれ? 北里さん、どうかしたのかい? 」
涼花が不思議そうに秀臣と郷を見ていると、空斗がオフィスビルから出てきた。
「社長…」
ちょっと驚いた目をした涼花。
空斗が涼花の傍にいる運転手を見ると、雲梯集は丁寧なお辞儀をした。。
丁寧なお辞儀をする運転手を見て、空斗は何かを感じ取ったようだ。
「北里さん。この後時間があるなら、私にちょっと付き合ってもらえないかい? 」
「え? 社長に? 」
「ダメかな? こんなおじさんじゃ」
「いいえ、そんな事はりませんが…」
チラッと、涼花は秀臣の方を見た。
空斗は涼花の視線を追った。
離れた場所に停まっている車に秀臣の姿を見て、そして親し気に話している郷の姿を見た空斗はちょっと驚いた目をしていた。
「こちらの事はお気になさらず、行ってらして下さい。旦那様には、お伝えしておきますので」
「は…はい…」
ちょっと気のないような返事をした涼花。
運転手はそのまま去ってゆき、車に戻って行った。
どうしよう…。
ちょっと気が重い涼花。
「すまなかったね、突然声をかけてしまって」
「い、いいえ…」
「そうだ。ここのビルにある、ホテルのカフェに行こう。個室になっているから、誰にも邪魔されないよ」
「え、ええ…」
曖昧なまま、涼花は空斗に着いて行った。
オフィスビル内にあるホテルは、高級ホテルで会員制になっている。
席はすべて個室のように泣ていて、ホテルの一室のようにくつろげる。
6人掛けのゆったりしたソファーの席で、リラックスできる癒される場所でもある。
中央に噴水があり優しい水の音が聞こえてきて、他の話し声は一切聞こえない。
席に案内されると、向かい合わせで座った空斗と涼花。