副社長が私を抱く理由~愛と殺意の先に~
綺麗な顔と醜い顔
「この時間だから。食事でもどうかな? 」
「いえ…。お茶で結構です」
「遠慮しなくていいんだよ。いつも頑張ってくれているから、ご馳走させてほしいんだ」
「…私…そんなに食べれないので…」
「それなら大丈夫だよ。量が少ないものを頼めばいいのだから」
気を使って遠慮している涼花に、空斗はメニューの中から量の少ないものを選んで注文してくれた。
空斗に押されて、結局食事する事になってしまった涼花。
空斗が注文してくれたのは、美味しそうな熱々のチキンドリアとサラダのセットだった。
アフターでドリンクとデザートのケーキがついている。
ケーキはシフォンケーキで量も少なめでちょうどいい感じ。
特別な会話をするわけでもなく、他愛ない話をするだけの空斗。
涼花はとても上品に食べている。
ゆっくりと、姿勢よく、一口一口をちゃんと味わって食べているようだ。
空斗が話しかけても、頷くか小さく返事をするだけの涼花だが。
チキンドリアを食べ始めると、何となく嬉しい表情に変わってゆく涼花が見えた。
ちょっと警戒したように空斗を見ていた涼花だが、警戒心は緩んで優しい目で空斗見ている。
あまり食べれないといっていた涼花だが、チキンドリアは残さないで綺麗に食べていた。
サラダも綺麗に食べていて。
アフターにきたシフォンケーキを見ると、嬉しそうな目をしている涼花がいた。
飲み物は温かい紅茶をストレートで頼み、ちょっと猫舌なのか冷ましながらゆっくりと飲んでいた。
そんな涼花を見ていると、空斗はなんとなくかわいく思えて愛しさを感じる。