副社長が私を抱く理由~愛と殺意の先に~
「あれ? 父さん。どうしたの? 」
宇宙が声をかけてきた。
「おお、今帰りか? 遅くまでご苦労様」
「ああ」
一緒にいる涼花を見て、宇宙はきょんとなった。
「北里さんに無理言って、夕食に付き合ってもらったんだ」
「え? そうなの? 」
「おかげでとっても楽しい時間が過ごせた」
嬉しそうな空斗を見ると、宇宙はちょっとだけ嫉妬したような目を向けた。
「じゃあ、私はこれで帰るから。後は任せるよ、宇宙」
「はぁ? 」
ちょっと意味深な笑みを浮かべ、空斗は帰って行った。
「父さんと食事してたんだ」
ギュッと涼花の手を握って、宇宙が言った。
「ごめんなさい、断れなくて…」
「別に怒っていないよ。父さん嬉しそうだったから」
手を握って歩き出した宇宙と涼花。
「今日は遅くなったから、ちょっと心配していた。一人で、パニックになっていないか? って」
「…すみません。帰ったら夕飯、作りますので」
「軽くでいいから。夜も遅くなったし」
「はい…」
宇宙は涼花の顔を覗き込んだ。
「顔色いいね。好きな物でも食べたのか? 」
「あ…そうなのかもしれません。食べると、嬉しい気持ちになれたので」
「へぇー。それは良かったじゃん」
「はい…。あ、そうでした。実はお願いがあったのですが」
「なんだ? 」
「いえ…叔父に会って頂きたくて…」
「ああ、前に話していた叔父さんか? 別にいいけど」
「では、今度の週末にお時間作ってもらえますか? 」
「OK! 楽しみにしている」
手を握ったまま、宇宙が嬉しそうに微笑んでいた。
その後。
レジデンスに戻って、涼花は軽く宇宙の夕飯を作った。
簡単にできる軽い物と考えて、涼花が作ったのは簡単なグラタンだった。
インスタントのソースがあり、サッとマカロニを茹でてオーブンで焼くだけで30分少々で作れた。
作っている間に宇宙はお風呂に入ってきた。