副社長が私を抱く理由~愛と殺意の先に~

「赤くなってるあんたも可愛いな」

 チュッと唇にキスをした宇宙が、涼花と目と目を合わせてそっと微笑んだ。

「セックスは愛し合うため。その先の責任もあるけど。愛を確かめ合うものだ。初めてアンタと繋がったときは、最高に嬉しかった。繋がったとき、アンタの辛かった気持ちが伝わって来たよ…」
「…そんなに想っていてくれたのですか? 」

「ああ。繋がって、アンタの気持ちが伝わってきたら。もっと好きになって、愛しているって気持ちが強くなったから」


(大丈夫だ。俺、ずっとアンタの事護るから。…俺と、ちゃんと繋がってほしい)

 そう言って優しく抱きしめてくれた宇宙。

 今のように優しい手で両頬を包んでくれていた…。




 今夜も愛し合う宇宙と涼花。

 何度目だろう…
 いつも新鮮さを感じる。

 そして強い愛を感じる。

 愛している…
 その気持ちが今日も強く伝わってきた…。


 



 

 翌日。

 涼花は週末に宇宙と話が出来る事を秀臣に伝えた。
 時間は空けておくと快く返事をした秀臣。



 
 いつものように出勤してきた宇宙と涼花。

 すると、エレベーター前で郷にすり寄っている美也がいた。
 昨日と同じジャケットで、涼花が貸したままのジャケットを着ている美也。

 郷は特に顔色も変えることなく、すり寄って来る美也を黙って受け止めていた。


 同じ営業部同士の2人。
 もしかして、何か進展があったのだろうか?

 そう思った涼花。
 宇宙は特に気に留めなかったようだ。



 今日もいつも通り一日が始まる。

 
 会議が重なり、空斗も宇宙今日はかなり忙しくバタバタとしている。


 涼花も会議室に珈琲を運んだりと、バタバタしている。

 そんな中。


 移動中の廊下で、美也と郷が2人で見つめ合っている姿を目撃した涼花。
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