副社長が私を抱く理由~愛と殺意の先に~
 
 その夜は震えている涼花をそっと抱きしめて眠った宇宙。

 何となく重い何かを感じていたが、そんなに酷い事だったとは想像もできなかった。
 整形して恐怖から逃れることが出来たが涼花だが、反対に中傷されることが増えた…。
 それでも怖い思いをするよりはマシだと思っていたのだろう…。

「それで…セックスも拒んでいたのか…」

 宇宙と涼花(風香)が初めて結ばれたのは、結婚して半年経過した頃。
 宇宙が何度誘っても、迫っても、涼花は逃げていくばかりだった。
 あまり近づくと別の部屋に逃げてゆく事もあった。
 
 宇宙はいつも、涼花(風香)の顔と体のバランスが悪いと思い変な感じを受けていた。
 顔は不細工なのに、体はスタイルがよくて胸も綺麗…。
 顔とのバランスが悪く、違和感を感じていたのだ。

 涼花(風香)を見ていると、後ろに綺麗な女性が見えて…。
 きっと後ろに見えている女性が、涼花(風香)の本当の姿なのではないかと宇宙はずっと思っていたのだ。


 社長秘書として、涼花が宗田ホールディングに初めて来た日。
 空斗に紹介された宇宙は、涼花を見て、ずっと風香の後ろに見えていた女性と同じである事に気づいて嬉しくなった。

 この人は…風香だ…。
 そう思って距離を近くして、ちょっと脅しっぽくなったが涼花と一緒にいられるようにした。


「もう大丈夫だ。俺が護るから…」

 涼花を抱きしめて宇宙がそっと呟いた… …。





< 63 / 94 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop