副社長が私を抱く理由~愛と殺意の先に~
「涼花が階段から転落してまもなくだったよ。外出して、歩いていた涼花の両親を狙ったかのように車が突っ込んできたんだ。急ブレーキの跡もなくてね。2人も即死だった。犯人は逃げてしまい、今でも見つからないままだけど。目撃者がいてね」
「目撃者? 」
「営業部の篠山さんだよ。偶然だけど、ものすごいすスピードで逃げてゆく車を見たと言っていて。信号待ちで止まっている所を見たら、重乃さんと有香さんと美也さんが乗っていたのを見たそうだよ。3人で笑っていて、怖いくらいだったって話していた。もちろん、警察には証言しているけど。すぐに車を処分したのか、決定づける証拠が挙がらなかったようだよ」
「それで今でも、犯人は捕まっていなのですか? 」
「そうゆう事になるね。涼花は、美也さんから真相を聞きたいと言って宗田ホールディングに就職したんだ」
そうゆう事だったのか…。
宇宙はそっと涼花をみつめた…。
「実を言うと。初めは、君の事も疑っていたんだ」
「俺を? 」
「離婚用紙が送られてきていたからね。10憶も支払った君も、何かしら涼花の両親に敵意を抱いて殺害に手を貸したのではないかと。手を貸していなくとも、何らかの形で協力したのではないかと詮索していたんだ」
「そうだったのですか…。仕方ないですよね、俺のサインが書かれてた離婚用紙なんか送られてきたら。誰でもそう思いますよね」
悲しげな目をしてスッと視線を落とした宇宙を見ると、秀臣も胸が痛んだ。
「君と初めて会った日に、涼花は私に言ってきたよ。あの人は、何も悪くないと思うってね」
「え? 」
「良く判らないままだが、涼花なりに感じたことのようだよ。あの人は、人を殺すなんてそんな事する人じゃないってね」