副社長が私を抱く理由~愛と殺意の先に~

「貴方の事を疑ってしまった事です。…貴方はずっと、私を信じて待っていたのに…私は…」
「何を言っているんだ。あんたも俺の事、信じてくれていたじゃないか。初めて会った時に「あの人は人を殺そうなんて、する人じゃない」って言ってくれたんだろう? 」
「はい…」

「俺はその気持ちだけで充分だ。過去は見なくていい、未来だけ見ればいいんだ。その為に、来てくれたんだぞ。俺達の子供が」

 宇宙もそっと、涼花のお腹に手をあてた…。

「双子かぁ…。俺も双子だから、来てくれた子も双子なんだな。もう無理しなくていいから、家にいてくれ。俺がちゃんと護るから」

 涼花は小さく頷いた。



 

 その後。

 レジデンスに戻ってきた宇宙と涼花は、一緒に夕飯を作っていた。

 まだそれほど悪阻もひどくなく、食欲もある涼花に、スタミナつけておかなくてはとガッツリお肉を焼いてくれてた宇宙。

 サーロインステーキでもちょっと厚みがあるお肉。


 涼花はちょっとボリュームがありすぎて驚いていたが、喜んで食べていた。



「ねぇ、食事中にこんな話しは良くないけど。気になる事を、聞いていいか? 」
「はい…」

「怪我をした時。助けてくれた人って、どんな人なんだ? 」
「秀臣叔父さんの弟の忠臣さんで、金奈総合病院の外科医の人です。でも、忠臣叔父さんはある人に呼ばれて来ただけです」

「ある人? 」
「私の事を一番に発見したのは、営業部の篠山さんだったそうです」

「篠山さん? 」
「篠山さんは、7年前にあの階段で妹さんが亡くなったと話していました。誰かに、突き落とされて転落したと」


 言われて宇宙は思い出した。
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