副社長が私を抱く理由~愛と殺意の先に~
キーっと車の急ブレーキの音が響き、辺りは騒然となった。
歩道橋の上から、地面に叩きつけられ頭から多量の出血を流し白目をむいて倒れている美也を見て、郷は乾いた笑いを浮かべた。
「…やっと…仇がとれたよ未菜…」
力なくその場に座り込んだ郷。
「あいつは狂っている…。まともに逮捕なんかされても、意味がないんだ…」
空を見上げ、乾いた笑いを浮かべたまま。
郷は美也が持っていたナイフが落ちているのを目にした。
「さてと…僕も未菜の傍に行こうかな…」
落ちているナイフを手に取った郷は、そのまま首にナイフをあてた。
「…風香さん…幸せになって下さい…」
それだけ言うと、郷は勢いよくナイフで自分を首を切った。
カラン…。
むなしくナイフが地面に落ちてきた。
そのナイフには多量の出血が着いていた。
サイレンの音が響き。オフィスビル周辺が騒然となってきた。
お昼近くまで、警察がウロウロしていたオフィスビル周辺。
美也は即死だった。
警察から追われていた美也だったが、家には帰ることが出来ず夜な夜な男を引っかけて遊んでいたようだが、美也の異常なくらいの性欲に男が引いてしまったようだ。
歩道橋の上で血まみれになり倒れていた郷を、オフィスビルに出勤する人が見つけて警察に通報したが既に息絶えていた。
郷の持っていた携帯に、美也が話したことが録音されていて、郷を殺そうとした状況も録音されていた。