副社長が私を抱く理由~愛と殺意の先に~

 美也はずっと精神科に通っていた。
 初めは鬱状態で、風紀の病院に通っていたが金奈総合病院に変わってからは双極性障害が強くなり、鬱状態より現実逃避をする事が多くなり邪魔な人はみんな殺せばいいと、父親そっくりになってしまい、男癖の悪かった母親の姿をマネして若い男を狙ってまるで狩りでもやっているかのように楽しんでいた。
 お金持ちと結婚したいと、いつも病院でも話していた美也。
 宇宙を狙っていたのも、お金持ちになりたいからと言っていた。

 美也に殺された重乃と有香も、お金持ちと結婚したいといつも言っていた。

 重乃は両親が2人共、ダブル不倫をしていて家にいる事がなかった。
 離婚してくれればいいと思っていた重乃だったが、何故か離婚はしないままで、重乃が社会人になると2人共家に帰ってこなくなり、狭いアパートではあったが重乃は一人で暮らしていた。
 働いたお金でやっとの生活に疲れた重乃は、お金持ちと結婚して楽をしたいと思い、お金持ちの男ばかりを狙っていた。
 宇宙が宗田ホールディングに入社してくると、社長の息子であることから目をつけ狙っていた。
 涼花(風香)と結婚してしまい、なんとか引き裂こうとして殺害計画を企てて、涼花(風香)がいなくなったことから「住むところがないので、しばらく置いて下さい」と宗田家に押しかけていったのだ。
 夜遅くに押しかけて来た重乃に、情けをかけて空斗が少しの間という事で居候させていたが。
 契約したアパートが火事になったとか、契約しようとしたらオーナーが行くへ不明になったなど、何かしら理由をつけて宗田家から出て行かなかった重乃。
 そのうち勝手に「副社長と結婚しました」と周りに言い始めてしまい、いつの間にか宇宙は重乃と再婚したことになっていたのだ。


 有香の家は、兄がいて兄はとても優秀で国家公務員になっていた。
 有香の父親は商社に勤める平社員で、母親は大手コンサルティング会社に勤めるやり手のキャリアウーマンだった。
 母親の方が稼ぎが良く、家にいる事は少なく、いつも優秀な兄だけは大切にされていた。
 家に母親がいない事から父親は不倫に走り、不倫相手と駆け落ちして行くへ不明になり、失踪届を出して7年経過しても見つからないまま死亡扱いされた。
 母親はますます帰りが遅くなり、休みの日も仕事の事で出かけてばかりだった。
 有香には見向きもしないで、兄ばかり大切にしていた母親。

 有香は寂しさから大食いになり、太ってしまったのだ。
 太った有香を見ると、母親も兄も一緒にいたくないと言って有香を家から追い出してしまった。
 安いアパートで一人暮らしをしていた有香。
< 87 / 94 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop