エチュード〜さよなら、青い鳥〜
わかった途端に、急に気持ちが冷めた。
元々それほど愛情を感じていたわけでもなかったが、側で微笑んで四辻の話を聞いてくれる時は楽しかったし、体を重ねれば甘えたようにしがみついてきて愛おしく感じ、結婚しても上手くやれそうだと思っていた。


それが、今、新たな一歩を踏み出そうか悩む四辻の前で、鬼のような形相で髪を振り乱して引き止める彼女に、四辻は嫌悪感すら感じていた。


「返事はまだ保留にしてるんでしょ?それって心揺らいでるってことよね?
業務経験のない涼が行ったって無理よ。戦力になるまで、また一からよ?戦力にだってなるか分からないじゃない。
やめてよ、涼。私は絶対反対だからね。
私たち、結婚するのよ?二人で一緒に生きていくんだから、一人で勝手に決めたりしないでね?」


戦力になるか分からない。
それは陽菜の言う通りだ。資格取得の際に勉強したことも、業務に活かせるかはわからない。

四辻の心はぐらついた。



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