エチュード〜さよなら、青い鳥〜
「会長から、少し遅れると」
「…構いません。時間には余裕がありますので」
陽菜とは、別れた日以来だ。相変わらず綺麗にしている。
「久しぶりね。どう?新しい仕事は」
「前より忙しい」
「びっくりしたわ。会長と親しくしてるなんて。アリオン本社にいた時より、上層部に顔がきくようになるなんて、思わなかった」
「アリオン・エンタープライズは、こちらに比べると人員はずっと少ないし、社長はフレンドリーな方だから。うちの社員は、みんな社長と仲良いよ」
「そうなんだ」
会話が途切れる。
四辻は、陽菜とこれ以上話すつもりもなく、車のドアに手をかけた。
ところが、陽菜が駆け寄り四辻の服の袖を掴む。
「ね、涼。…私、あなたに謝らなくちゃ。
びっくりして、パニックになって、あなたとお別れするなんて。ずっと後悔していたの。ごめんなさい。やり直したい。私、今でも涼のことが好きよ。忘れられないの」
陽菜は目を潤ませ、四辻を見上げている。
「過ぎたことだ。もう俺は前を向いて歩いている。
新しく好きな人も出来た。
君とは、終わったんだ」
「そんな…」
四辻を掴む陽菜の手が震えている。その手を払い、四辻は車のドアを開けて中に乗り込もうとした。
「…構いません。時間には余裕がありますので」
陽菜とは、別れた日以来だ。相変わらず綺麗にしている。
「久しぶりね。どう?新しい仕事は」
「前より忙しい」
「びっくりしたわ。会長と親しくしてるなんて。アリオン本社にいた時より、上層部に顔がきくようになるなんて、思わなかった」
「アリオン・エンタープライズは、こちらに比べると人員はずっと少ないし、社長はフレンドリーな方だから。うちの社員は、みんな社長と仲良いよ」
「そうなんだ」
会話が途切れる。
四辻は、陽菜とこれ以上話すつもりもなく、車のドアに手をかけた。
ところが、陽菜が駆け寄り四辻の服の袖を掴む。
「ね、涼。…私、あなたに謝らなくちゃ。
びっくりして、パニックになって、あなたとお別れするなんて。ずっと後悔していたの。ごめんなさい。やり直したい。私、今でも涼のことが好きよ。忘れられないの」
陽菜は目を潤ませ、四辻を見上げている。
「過ぎたことだ。もう俺は前を向いて歩いている。
新しく好きな人も出来た。
君とは、終わったんだ」
「そんな…」
四辻を掴む陽菜の手が震えている。その手を払い、四辻は車のドアを開けて中に乗り込もうとした。