エチュード〜さよなら、青い鳥〜
初音が舞台に出ると、大きな拍手で迎えられた。
ピアノにそっと手を置いて観客席に一礼する。ジュンが魂を込めてデザインをしてくれた深い青緑色のドレスが揺れた。


ピアノの前に座り、ドレスの裾を整える。
メダルを首にかけることを意識したという、シンプルデザインの胸元にそっと手を当てる。
極上の絹の手触りに、心がほどよく高揚していく。


ーー大丈夫。私は、私の演奏をすればいい。


指揮者と目を合わせた。


ーーさぁ、プロコフィエフ。
あなたの作った最高に幸せな音の世界。
一緒に楽しみましょう。

















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