エチュード〜さよなら、青い鳥〜
期待して、店内を見回す会社員の男性。



生演奏で聴く喜び。演奏者によって違う解釈。楽しくて仕方ないことはよくわかるから。

ーーコンクールの舞台でもないし。
皆、それほど真剣に聞いてないし。
『革命のエチュード』なら、得意だから。





初音は、ゆっくりとピアノに歩み寄り椅子に座った。

ライトに照らされた鍵盤を見つめる。



ーーさぁはじめましょうか、ショパン。
私のところに降りてきて。
あなたの想いを、音楽で伝えましょう。



初音は鍵盤に白い手を置いた。スッと息を吸い込み、指先に力を込める。

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