エチュード〜さよなら、青い鳥〜
「あのお嬢さん、もしかしたらすごいピアニストなんじゃありませんか?」
老夫婦が四辻にこそっと尋ねた。
「いや、まだ音大の生徒です。先日、コンクールで優勝しましたが」
「まぁ、すごいじゃない!ステキな方ね、気さくにリクエストにも応えてくれて」
たくさんの拍手をもらって照れながら四辻の元に戻ってくる初音。
彼女のピアノには、人を惹きつける力がある。四辻はそのことがなんだか誇らしく感じていた。
「お嬢さん。素敵な演奏をありがとう。あなたのピアノ、とってもいい。上手いだけじゃなくて、心に刺さるわ」
「いやぁ、良かったよ。感動をありがとう。ぜひ、ケーキでも奢らせておくれ!」
四辻の隣に座った初音に老夫婦が興奮した様子で話しかけてきた。
「いえ、喜んで頂けたことが何よりのご褒美ですから。四辻さん、もう行こう?」
初音は、四辻の手を取って席を立つ。
「そうね、恋人同士の楽しい時間を、これ以上邪魔しちゃ悪いわね。
さよなら、ステキなピアニストさん。幸せな時間をありがとう」
満面の笑顔で、老夫婦が手を振る。
仲の良い夫婦だった。同じ思い出を抱えながら、感じる幸せを分け合い、あんな風に穏やかに一緒に時間を過ごしていけるパートナー。
初音は、かたわらの四辻を見上げた。
好きな音楽に囲まれて、この人とならあんな風に時を重ねて生きていけるかもしれない。ふと、思った。
老夫婦が四辻にこそっと尋ねた。
「いや、まだ音大の生徒です。先日、コンクールで優勝しましたが」
「まぁ、すごいじゃない!ステキな方ね、気さくにリクエストにも応えてくれて」
たくさんの拍手をもらって照れながら四辻の元に戻ってくる初音。
彼女のピアノには、人を惹きつける力がある。四辻はそのことがなんだか誇らしく感じていた。
「お嬢さん。素敵な演奏をありがとう。あなたのピアノ、とってもいい。上手いだけじゃなくて、心に刺さるわ」
「いやぁ、良かったよ。感動をありがとう。ぜひ、ケーキでも奢らせておくれ!」
四辻の隣に座った初音に老夫婦が興奮した様子で話しかけてきた。
「いえ、喜んで頂けたことが何よりのご褒美ですから。四辻さん、もう行こう?」
初音は、四辻の手を取って席を立つ。
「そうね、恋人同士の楽しい時間を、これ以上邪魔しちゃ悪いわね。
さよなら、ステキなピアニストさん。幸せな時間をありがとう」
満面の笑顔で、老夫婦が手を振る。
仲の良い夫婦だった。同じ思い出を抱えながら、感じる幸せを分け合い、あんな風に穏やかに一緒に時間を過ごしていけるパートナー。
初音は、かたわらの四辻を見上げた。
好きな音楽に囲まれて、この人とならあんな風に時を重ねて生きていけるかもしれない。ふと、思った。