エチュード〜さよなら、青い鳥〜
ホールの先は緑の多い公園だ。
木々の枝には小鳥たちがまるで歌うように可愛らしい声をあげて羽を休めている。

二人でそんな公園の整備された遊歩道を肩を並べながら歩く。
週末とあって、家族連れやカップルが公園内をのんびりと散策していた。


「なんだか四辻さんといると、音楽がついて回るね。あの場所にピアノだなんて、今まで気づかなかった」

「ピアノがあそこにあることは知ってたんだけど、実際弾いているところに遭遇したのは初めてだ。しかも、また『革命』のリクエスト」

ふと、二人は顔を合わせた。
間違いなく、お互いに出会った時を思い出している。まだ数少ない二人共通の思い出を。

「そうね。あの時までの私は自分の自己満足でピアノを弾いていたけど。
四辻さんのおかげで、世界が変わった。今は、すごく幸せな気持ちで、すごく楽しくピアノが弾ける。私の世界がキラキラして聞こえるようになった」

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