エチュード〜さよなら、青い鳥〜
「四辻さん、アリオンに戻りたい?それなら、遠慮なく言ってね?
四辻さんにはやりたい仕事があるのに、無理矢理自分の会社に引っ張ってきたのは、お父さんなんだから」
紅茶の入ったティーカップを四辻の前に置いて、ズバリ尋ねたのは恵だ。
四辻は、膝の上の自分の手に力を込める。
自分の心に問う。四辻自身もずっと悩んでいたことだ。近々、キッパリと決めなくてはならないと思いながらも、社長の温情に甘えてズルズル答えを先延ばしにしていた。
「私には、どうしても捨てられない夢があります。
音楽家が魂を込めて作り出してくれた音楽を、最高の状態で多くの人に聴いてほしいという夢です」
夢を語る四辻に、広宗は大きく頷いた。
「うん。その夢に一番近いのはやっぱり音楽機器メーカーであるアリオンなんだよね。
そっかぁ。じゃあやっぱり誰か他を探すよ。
ただ、見つかるまで、もうしばらくお願い出来るかい?」
「あ、いえ。私の夢は“いつか”でいいんです。
今の仕事の大切さもよくわかっていますし、社長が私の能力を必要としてくださって、やりがいもあります。優先すべきは今の仕事です」
「…ありがとう、四辻くん。俺も反発する奴らを説得してみるよ」
四辻さんにはやりたい仕事があるのに、無理矢理自分の会社に引っ張ってきたのは、お父さんなんだから」
紅茶の入ったティーカップを四辻の前に置いて、ズバリ尋ねたのは恵だ。
四辻は、膝の上の自分の手に力を込める。
自分の心に問う。四辻自身もずっと悩んでいたことだ。近々、キッパリと決めなくてはならないと思いながらも、社長の温情に甘えてズルズル答えを先延ばしにしていた。
「私には、どうしても捨てられない夢があります。
音楽家が魂を込めて作り出してくれた音楽を、最高の状態で多くの人に聴いてほしいという夢です」
夢を語る四辻に、広宗は大きく頷いた。
「うん。その夢に一番近いのはやっぱり音楽機器メーカーであるアリオンなんだよね。
そっかぁ。じゃあやっぱり誰か他を探すよ。
ただ、見つかるまで、もうしばらくお願い出来るかい?」
「あ、いえ。私の夢は“いつか”でいいんです。
今の仕事の大切さもよくわかっていますし、社長が私の能力を必要としてくださって、やりがいもあります。優先すべきは今の仕事です」
「…ありがとう、四辻くん。俺も反発する奴らを説得してみるよ」