エチュード〜さよなら、青い鳥〜
「反発、結構あるの?」
あまり冴えない父の表情に、初音は心配になって尋ねた。
「みんな、ありがたいことにウチの会社を愛してくれてるんだ。仕事に誇りを持って、自分の人生かけて、俺について来てくれてる。
大丈夫、きっとわかってくれるはずだ。
四辻くんと同じ。形は違うけど、みんな最高の音楽を届けたい気持ちは同じだから」
広宗は、なんとも困り果てた様子だ。
「…ハードはアリオン。ソフトはアリオン・エンタープライズ。四辻さんが携わりたいのは、音楽機器のほうなのね。似てるようでやっぱり違うものだものね。
こんな時こそ、あなたが頑張らないと。
夢を摘んではいけないわ。四辻さんの夢も、自分の会社の社員の夢も、あなたが守って叶えてあげて」
恵が広宗の背中をポンと叩く。弱っている父を励ますことに関して、母の右に出る者はいない。
「…あぁ。そうだな」
恵の応援でわずかに表情を緩めたものの、広宗の眉間には深い皺が刻まれていた。
「お父さんって、人の心を掴む天才だと思ってたけど…社長って大変なんだね」
こんなに悩む姿の父が珍しくて、初音の心配は大きくなる。
「おぅ。たまには尊敬してくれるかい?」
そんな初音に、いつものように軽い返事を返す広宗。その切り替えの速さに心配するだけ損な気がした。
「いつも、尊敬してるよ。好き勝手ばっかりやってるようにしか見えないけど。
丹下の名前に負けないで自分の会社をここまで育てたのは、すごいと…。
待って、丹下の名前…。丹下の一族…」
あまり冴えない父の表情に、初音は心配になって尋ねた。
「みんな、ありがたいことにウチの会社を愛してくれてるんだ。仕事に誇りを持って、自分の人生かけて、俺について来てくれてる。
大丈夫、きっとわかってくれるはずだ。
四辻くんと同じ。形は違うけど、みんな最高の音楽を届けたい気持ちは同じだから」
広宗は、なんとも困り果てた様子だ。
「…ハードはアリオン。ソフトはアリオン・エンタープライズ。四辻さんが携わりたいのは、音楽機器のほうなのね。似てるようでやっぱり違うものだものね。
こんな時こそ、あなたが頑張らないと。
夢を摘んではいけないわ。四辻さんの夢も、自分の会社の社員の夢も、あなたが守って叶えてあげて」
恵が広宗の背中をポンと叩く。弱っている父を励ますことに関して、母の右に出る者はいない。
「…あぁ。そうだな」
恵の応援でわずかに表情を緩めたものの、広宗の眉間には深い皺が刻まれていた。
「お父さんって、人の心を掴む天才だと思ってたけど…社長って大変なんだね」
こんなに悩む姿の父が珍しくて、初音の心配は大きくなる。
「おぅ。たまには尊敬してくれるかい?」
そんな初音に、いつものように軽い返事を返す広宗。その切り替えの速さに心配するだけ損な気がした。
「いつも、尊敬してるよ。好き勝手ばっかりやってるようにしか見えないけど。
丹下の名前に負けないで自分の会社をここまで育てたのは、すごいと…。
待って、丹下の名前…。丹下の一族…」