エチュード〜さよなら、青い鳥〜
わずか3分にも満たない演奏時間で、初音はダイナミックにドラマティックな彼女の『革命』を弾きあげた。

最後の和音の音が響き終わると、会場から拍手が沸き起こる。

思っていた以上の拍手の量に初音は驚いた。
聴いてもらえたことは素直に嬉しい。


拍手に応えて深々とお辞儀をし、初音は席に戻ろうとピアノから離れた。





「ありがとうございました!
とても素晴らしい演奏でした!」


その時、あのリクエストをした男性が初音の元にやってきた。
鼻が高く、メガネの奥の目は切れ長。スラリと高い身長。髪は短髪で程よく整えられ、エリートを絵に描いたような雰囲気の男性だった。


「いえ。今日は、たまたま調子が良かったので」


「三人三様、それぞれ素晴らしい演奏でした。やはり、皆さん上手くて。
その中でも、あなたの演奏は衝撃的でした。
一音一音のキレのよさ。力強いダイナミックさと繊細なピアニッシモの対照。ドラマティックな展開に、引き込まれました。

忘れられない。私にとって、最高の時間でした」

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