エチュード〜さよなら、青い鳥〜
未来を読む
銀座。駅での待ち合わせ。初音は電車を降りて、改札口へ向かう人の波に乗る。
先に着いていた四辻が、仕事帰りのスーツ姿で改札口を見つめていた。
自分を待っていてくれると思うだけで、なんだかくすぐったい。
人混みの中でもすぐに初音を見つけてくれて、手を振ってくれる。
二人で向かったのは、JUNNZO SUZUKIの店だ。
「いらっしゃい、初音!待ってたわよー。
君が、四辻涼くんね?初めまして。
……いいじゃない。初音を射止めたなんてどんな男かと思ったけど、初音の父親とは真逆の真面目な感じね」
ジュンが、まるで全てを見透かすようにじっくりと四辻の全身を見つめた。ジュンはファッションに疎い四辻でも知る世界的超有名デザイナー。その溢れ出すオーラに、四辻は目の前にいるだけで緊張する。
「なんだか、ジュンさんに食べられてしまいそうよ、四辻さん」
そんな二人の様子に、初音はクスクスとわらう。
「やぁだ、初音、まだ苗字で呼んでるの?なんだかよそよそしいわ。
結婚するんでしょ?下の名前で呼びなさいよ」