エチュード〜さよなら、青い鳥〜

ジュンは、最高にご機嫌で二人にアイデアを出す。

「花嫁の幸せを願うアイテムとして、サムシングブルーを入れるってどう?青は幸せを呼ぶ色よ。リングの内側にサファイアをあしらうの。
それと、名前のイニシャルかな。RとH…そうねぇRって鳥みたいな形よね。幸せの青い鳥をモチーフにRとHをこんな風にデザインしたら、どう?」

ジュンの描いたスケッチを見ながら、二人が目を輝かせた。

「さすがジュンさん、最高」

ーーまぁ、幸せそうな顔しちゃって。

初音は、派手な見た目とは対照的に普段は冷めた子だ。年頃だというのに、男の子のことではしゃいだり、流行りの物にも興味を示さない。
初音が好きなのは、音楽だけ。

そんな初音に好きになれる相手が出来て、ジュンも嬉しかった。恋をしている初音の顔は、最高に可愛い。

でも。

ーー本当に、大丈夫かしら。

相手はいわゆる普通の感覚で生活している一般人だ。先ほどジュンにこっそり提示した指輪の金額も同世代の男性が用意できるものとしては高額であったが、丹下や一条といったジュンの固定客達とは残念ながら桁違いだ。
そもそも丹下や一条は値段を見ないし、尋ねない。ジュンの仕事を信じてくれているからだ。


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