エチュード〜さよなら、青い鳥〜
「なぁ、陽菜、この後ふたりで抜けよう。そのイライラを発散しに行こう。カラオケ?ゲーセン?それとも、飲み直すか?」

「じゃ、飲み直す」

「りょーかい。じゃ、俺、課長にビール注ぎに行ってくるわ。陽菜も、もう少し楽しそうにしてろ」

ビール瓶片手に、朝倉が席を立つ。

その姿に、陽菜はため息が出た。

ーーイマイチ。

同期の中では一番、出世しそうだと思った。上司のウケもいいし、成績も優秀。
でも、見た目がパッとしない。ヒールを履くと陽菜の方が背が高くなるし、イマイチ垢抜けない感じが気に入らない。

その点、四辻は完璧だった。見た目も、仕事ぶりも。
ただ、要領の良さが足りなかった。融通がきかない堅物。上司への気配りといった気遣いも出来なかった。


ーーやっぱり、涼のほうが良かったかしら。
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