エチュード〜さよなら、青い鳥〜
一方。
カウンター席に戻ると、四辻涼はグラスに残っていたワインを口に運んだ。
『初音』と友人に呼ばれていた女の子。
あの『革命』は、忘れられないほどの衝撃だった。海外でプロの演奏を聴いた時より、四辻の心に響いた。
たぶん、今の自分の置かれた状況のせいもあると思う。
もうすぐ、大企業『アリオン』を去ることになるだろう。春の異動で子会社に出向することを打診されていた。意にそぐわぬ業務を任されることになり、会社を辞めることも頭をよぎるようになっていた。