エチュード〜さよなら、青い鳥〜
「涼、私、行ってきていい?」

「そんなの当たり前だよ。この話が本当だとわかったら悩む必要なんてない。
神さまだよ?ピアノの神さま、マーシャ・アルジェリーナにレッスンを受けられるなんて」

「四ヶ月の間、涼はどうする?ここにいる?」

留学が現実味を帯びてきて、初音は涼のことが心配になる。
初音のピアノの為に同居を選んだのだ。初音がいなければ、この家にいるのも窮屈だろう。


「俺のことなら心配いらない。四ヶ月くらい何とでもなるから」


涼に背中を押されて、初音の迷いは完全に消えた。


「私、ドイツに行ってくる。ピアノの神さまの教えを受けてくるね!」

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