エチュード〜さよなら、青い鳥〜
だが。
初音のピアノを聴いて、四辻の心にも『革命』が起きた。

どんなにもどかしく、焦燥感にさいなまれても。
今置かれた状況で、自分に出来ることをしようと思えるようになっていた。



出向先の社長は言った。
『四辻の能力が欲しかった』と。

新しい業務が自分に向いているかは、正直わからない。それでも、涼の能力を見い出してくれた社長を信じてみよう。


彼女の『革命』が、四辻の心を燃やしてくれた。


友人らと楽しそうにしている姿は、とてもピアノを弾きそうに見えない。目鼻立ちのはっきりとした派手な美人で、そこに居るだけで目立つ。華やかな芸能界にでもいそうな女の子。

ーーありがとう、『初音』さん。

四辻は、心の中でそうつぶやくと、店を後にした。







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