エチュード〜さよなら、青い鳥〜
「マーシャの才能に『君は、妻や母としてではなく、ピアニストとして生きるべき』と、生まれたばかりの娘を連れて出て行った最初の夫。
ピアノばかりで構ってもらえず、浮気して出て行った2番目の夫。
どちらにも深い愛情があったのに、伝わらなかった。不器用な人なのよ、マーシャは。
だからこそ、マーシャなりに初音の心配してるのよ」


クラウゼ教授は、本当にマーシャのことを理解している。彼女の言葉が真実であることは、静かに笑みをたたえるマーシャの顔を見ればわかる。


「全く、口の減らない女だね、ディアナ」


マーシャは口こそ悪いが、自分を理解してくれるクラウゼ教授を本当に信頼している。
そんな二人の関係が、初音には眩しい。


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