エチュード〜さよなら、青い鳥〜
違和感
マーシャとクラウゼ教授と共にやってきた久しぶりの日本は、枯葉舞う木枯らしが吹いていた。
「初音!」
空港の到着ロビーで、手を振っていたのは一条拓人だった。妻のいぶきも一緒だ。
「一条のおじ様!おば様!」
久しぶりの二人の姿に自然と笑みが溢れ、思わず駆け寄りそうになった。そんな初音の腕をクラウゼ教授が掴んだ。
「待ってハツネ、イチジョウと言ったわね?彼らが一条財団の代表かしら?」
「初音ちゃんが留学する時と、今回の来日の件で何度かお電話しましたが、お会いするのは初めてですね。私はイブキ・イチジョウです。彼が財団の代表、タクト・イチジョウです」
初音が通訳するまでもない。いぶきが流暢なドイツ語で挨拶をしてくれた。
「あなたが、イブキさん!私が、マーシャのマネージメントもしています、ディアナ・クラウゼです。よろしくお願いしますね」