エチュード〜さよなら、青い鳥〜
一方、目は閉じたまま初音はそっと涼の規則正しい胸の音を聞いていた。



ーー涼は、たぶん、嘘をついている。



これはカンだが、たぶん先ほどの、饒舌過ぎる言い訳の、どこまでかはわからないが全てが真実ではない。
真面目な涼が、スルスルとついた嘘。それが違和感となり、胸にドロドロとした澱みを作っていた。



肌を重ねて誰よりそばに涼を感じても、違和感が作った澱みは、初音の胸につかえたままだった。











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