エチュード〜さよなら、青い鳥〜
濃く鮮やかなロイヤルブルーのドレスを身にまとった日本人の登場に、観客席がざわつく。
涼もハッと息を飲む。

初音だ。

ドレスを着ているところを見ると、演奏するのだろうか。もしかしたら、マーシャを少し休ませる為の時間稼ぎか?

初音は観客席にお辞儀をすると、マーシャの左隣に座った。初音の背後には譜めくりの為か、クラウゼ教授が座った。


ーーまさか。まさか、ピアノの神さまと、連弾するのか?


周囲もざわめいている。
あの若い女の子は誰だ、日本人か、等々。


「四辻くん…初音が…私の可愛い孫が、マーシャ・アルジェリーナと肩を並べているぞ」
「…はい」

丹下会長の声が驚きで震えている。涼も頷くだけで状況が掴めない。



< 212 / 324 >

この作品をシェア

pagetop