エチュード〜さよなら、青い鳥〜
「子供が可哀想。父親がいないと辛い思いをさせてしまう」
涼の姿が頭をよぎる。初音も仕事も全てを捨てて夢を追う新しい人生をスタートさせた彼に、とてもじゃないけど父親になれとはいえない。
シングルマザーしか、道はない。
だが、初音にそれを決断できるほどの決心はない。
「可哀想かい?片親がいなくたって、子供は育つよ。ディアナ、あんたは辛い思いをしたかい?」
「私も幼少期は母親がいなくて、しかもずっと指揮者をしている父の都合でヨーロッパ中を転々としていたの。大人になるまで、母とは一緒に暮らしたことはなかった。
マーシャはピアニストとしても、女性としても人生を謳歌していたし、私もヨーロッパ中を転々とする生活は目まぐるしくて。いつも父が気に入った音楽家達に囲まれていたし、マーシャのいない淋しさはあまり感じなかったわ。母親がいなくて辛いと感じるヒマもなかった。だからハツネ、心配いらない」
涼の姿が頭をよぎる。初音も仕事も全てを捨てて夢を追う新しい人生をスタートさせた彼に、とてもじゃないけど父親になれとはいえない。
シングルマザーしか、道はない。
だが、初音にそれを決断できるほどの決心はない。
「可哀想かい?片親がいなくたって、子供は育つよ。ディアナ、あんたは辛い思いをしたかい?」
「私も幼少期は母親がいなくて、しかもずっと指揮者をしている父の都合でヨーロッパ中を転々としていたの。大人になるまで、母とは一緒に暮らしたことはなかった。
マーシャはピアニストとしても、女性としても人生を謳歌していたし、私もヨーロッパ中を転々とする生活は目まぐるしくて。いつも父が気に入った音楽家達に囲まれていたし、マーシャのいない淋しさはあまり感じなかったわ。母親がいなくて辛いと感じるヒマもなかった。だからハツネ、心配いらない」