エチュード〜さよなら、青い鳥〜
優しく、強く諭してくれる二人の言葉に、初音はキョトンとする。今、自分の置かれた状況を忘れてしまうほど、疑問で頭がいっぱいになった。

「ちょっと待って。クラウゼ教授、今の話…教授のお父さんは指揮者?お父さんと暮らしていたのに、どうしてマーシャが出てくるの?」

「あら、やだ。まさかハツネ、知らなかったの?
私はマーシャの娘よ。マーシャの才能に、ピアニストとして成功して欲しいと父は私を連れて別れたの。
今どき、ネットで検索すればそれくらいの情報は載ってるのに。ハツネったら」

母と娘。気を張らない普段の生活も、文句を言いながらも互いを思いやるところも、実際の親子ならよくわかる。


「親子みたいだと思ったこともあったけど、本物だったのね」

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