エチュード〜さよなら、青い鳥〜
「私たち本物の親子ですってわざわざ公言して歩く必要もないだろ？実際、私は産んだだけで育てていないし、母親づらするのもおかしな話だからね。
それでもさ、産んで良かったよ。今までの人生で娘を産んだことを後悔したことは一度もなかった」

「まぁ、カッコつけて。若い頃は娘の存在なんて忘れてたでしょ？ピアノに恋に忙しかったものね」


冗談めかして笑いあうマーシャとクラウゼ教授。素敵な親子だと思う。自分にも、こんな相手が持てるなら、とても幸せなこと。


「ハツネ。
不安よね。あなたのこれからの人生を思えば、どうすることが正解なのか、私にはわからない。
でも、あなたのお腹には新しい命が宿っている。それは、とても尊いことよ。願わくば、赤ちゃんを産んで母親になる道を選んで欲しいけど。
よく考えてね。
大丈夫。あなたが選んだことを私たちは応援する」


クラウゼ教授がふわりと優しく初音を抱きしめてくれた。まるで、母のように。


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