エチュード〜さよなら、青い鳥〜
涼音を抱きしめた恵が、階段へと姿を消すのを見計らい、広宗は座席を探すその人物に声をかけた。


「涼」


名前を呼ばれハッと振り返ったのは、四辻涼だった。


「…社長…ご無沙汰しております」
「開演まではまだ時間がある。ちょっと、いいか?」


久しぶりに会った広宗の醸し出すオーラに、涼は圧倒され静かにうなづく。広宗がこの場にいるだろうことは、予想していたので驚きはなかった。


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