エチュード〜さよなら、青い鳥〜
「…マーシャ、アンコールだ。拍手は、まだ、止んでいない」
朦朧としているはずのヘンリーが、一瞬目を開けてマーシャを見た。その薄く青い瞳を見て、マーシャは一つ、大きなため息をつく。
「やれやれ。わかったよ。
ディアナ、ハインリヒを頼んだよ。ハツネ、ここは日本だ、任せたよ」
「待って、マーシャ。もうすぐ救急車が来る。パパと一緒に病院へ…」
ぼろぼろと涙を流すクラウゼ教授。
「私は、ハインリヒの家族じゃない。ピアニストだ。こっちは任せな、ハインリヒ。最高のショパンを聴かせてやる」
ヘンリーが小さく笑った。
舞台に再び明かりがつく。事情など知らない観客がワッと喜びの声をあげ、一層大きな拍手が聞こえた。
朦朧としているはずのヘンリーが、一瞬目を開けてマーシャを見た。その薄く青い瞳を見て、マーシャは一つ、大きなため息をつく。
「やれやれ。わかったよ。
ディアナ、ハインリヒを頼んだよ。ハツネ、ここは日本だ、任せたよ」
「待って、マーシャ。もうすぐ救急車が来る。パパと一緒に病院へ…」
ぼろぼろと涙を流すクラウゼ教授。
「私は、ハインリヒの家族じゃない。ピアニストだ。こっちは任せな、ハインリヒ。最高のショパンを聴かせてやる」
ヘンリーが小さく笑った。
舞台に再び明かりがつく。事情など知らない観客がワッと喜びの声をあげ、一層大きな拍手が聞こえた。