エチュード〜さよなら、青い鳥〜
涼、あなたはわたしに言った。コンクールに出て多くの人に認められて、輝く舞台で活躍するべきだと。コンクールで名を上げれば色んな人に演奏を聴いてもらえて、ピアニストとして道が開けると。

確かにコンクールは、輝かしい経歴として残るし、ピアニストとして生きることのきっかけにもなった。


だけど、見て。経歴とか名前とか家柄とか関係なく、音楽は、ちゃんと聴く人に届いて、心を揺さぶる。
これが私の目指す『音楽で多くの人を感動させたい』こと。



「私、これからも頑張って、いつか、日本中でコンサートを開けるくらい有名なピアニストなります。
だから、また聴いて下さい。今度はぜひ、大きなコンサートホールで。最高の音楽をお届けします。また、お会いしましょう。
本日はありがとうございました」


初音は再びお辞儀をすると、笑顔で会場を後にした。



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