エチュード〜さよなら、青い鳥〜
「マーシャ・アルジェリーナとはまた違う、繊細で澄んだ音。切なさや哀しみの中に希望が見えるようで。心の中にある負の感情が、浄化される気がした。
…素晴らしい、演奏だった」
「…よかった」
ーーやっと、褒められた。
初音は、視線を自分の手に落とす。
ずっと、褒めてもらいたかった。涼が好きだと言っていた『別れの曲』を。
いくら向き合っても、自分だけの音が見つけられず、苦しみ続けた。いっそ、弾かないという選択肢を選んで、逃げてしまってもよかった。
でも。
この曲と向き合うことで、涼と自分の関係を整理することができた。
幸せで美しい思い出があった。その一方で、どうしようもないほど悲しみも寂しさも覚えた。
それらを昇華させて、やっと見つけた音だ。
これで、ピアニストとして一つ吹っ切れる気がする。
あとは彼がまだ知らない事実、涼音のことを知らせるべきかどうか。
初音は、改めて涼の顔を真っ直ぐに見た。
…素晴らしい、演奏だった」
「…よかった」
ーーやっと、褒められた。
初音は、視線を自分の手に落とす。
ずっと、褒めてもらいたかった。涼が好きだと言っていた『別れの曲』を。
いくら向き合っても、自分だけの音が見つけられず、苦しみ続けた。いっそ、弾かないという選択肢を選んで、逃げてしまってもよかった。
でも。
この曲と向き合うことで、涼と自分の関係を整理することができた。
幸せで美しい思い出があった。その一方で、どうしようもないほど悲しみも寂しさも覚えた。
それらを昇華させて、やっと見つけた音だ。
これで、ピアニストとして一つ吹っ切れる気がする。
あとは彼がまだ知らない事実、涼音のことを知らせるべきかどうか。
初音は、改めて涼の顔を真っ直ぐに見た。