エチュード〜さよなら、青い鳥〜
「やっとエチュード10-3を自分のものに出来たんじゃないかい?」

「ハツネ、とても素晴らしかった。ハツネらしく弾けたわね。ヘンリーも褒めていたわ。病状が落ち着いたらドイツに戻るから、また、聴かせて欲しい、ハツネによろしくって」

マーシャとクラウゼ教授が褒めてくれる。
だが初音に、今は喜ぶ余裕は無い。かろうじて口元に笑みを作りながら、涼がこの場から早く去ってくれることを祈った。


涼は、遠慮なくやって来たマーシャ達に背を向け、二人と入れ替わるように部屋を出て行こうとしている。




その時だった。



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