エチュード〜さよなら、青い鳥〜
初音はこの時がいつか来たとき、どうやって涼に説明するかをずっと考えていた。
法律の問題は、初音にはどうにもならない。だから、事実を述べるしかない。
だが『あなたの子供よ』と、いきなり言われてハイそうですかと受け入れることが出来るだろうか。
言葉によって与えられた情報だけで理解したとしても、『本当に?』と疑いは残るのではないだろうか。それでは、涼も初音も涼音も皆、不幸にしかならない。
きっと、『血のつながり』が解決してくれる。涼音に流れる涼の血が、言葉よりもっと深いところで親子であることを教えてくれるはず。
そう信じ、初音は意味ありげな笑みを浮かべて、涼に問い返した。
「涼は、どう思う?
私は離婚の前後は、ドイツにいた。日本に居たのは演奏会のあった数日だけ。
離れていた間、涼が福岡陽菜さんに心許したようなことが、私にもあったと思わない?」