エチュード〜さよなら、青い鳥〜
『無理』を連呼する涼の腕に、半ば強引に涼音を託す。
ひどく不恰好な抱っこ。それでも落とさないように必死に抱えてくれる姿を、初音は注意深く見つめた。
抱かれ心地が落ち着かないようで、涼音はもぞもぞと体を動かす。そのたびに落とさないようにガッチリと抱える涼。
涼は、涼音のずっしりとした重さと少し熱いくらいの体温を感じた。
「ったぁー」
よくわからない言葉を発し、涼音は大きく澄んだ瞳でじっと涼の顔を覗きこむ。自分を抱っこしている人物が誰かを確かめるように。
男性らしく広い胸板に力強い抱擁。それが気に入ったようで、涼音は手を伸ばして小さな手で涼の顔に触れた。
「すずね、ちゃん」
涼は、人生で初めて、『すずね』という言葉を発してみる。
「ヤー!」
自分の名前だと分かっているのだろう。手を上げて元気よく返事をしてくれた。
体の奥底から、何か今まで感じたことのない感情が湧き上がる。涼は涼音を抱く腕に、一層力を込めた。
ーー何だ。何なんだ。
湧き上がる感情が止まらない。この感情は何だろう。
ひどく不恰好な抱っこ。それでも落とさないように必死に抱えてくれる姿を、初音は注意深く見つめた。
抱かれ心地が落ち着かないようで、涼音はもぞもぞと体を動かす。そのたびに落とさないようにガッチリと抱える涼。
涼は、涼音のずっしりとした重さと少し熱いくらいの体温を感じた。
「ったぁー」
よくわからない言葉を発し、涼音は大きく澄んだ瞳でじっと涼の顔を覗きこむ。自分を抱っこしている人物が誰かを確かめるように。
男性らしく広い胸板に力強い抱擁。それが気に入ったようで、涼音は手を伸ばして小さな手で涼の顔に触れた。
「すずね、ちゃん」
涼は、人生で初めて、『すずね』という言葉を発してみる。
「ヤー!」
自分の名前だと分かっているのだろう。手を上げて元気よく返事をしてくれた。
体の奥底から、何か今まで感じたことのない感情が湧き上がる。涼は涼音を抱く腕に、一層力を込めた。
ーー何だ。何なんだ。
湧き上がる感情が止まらない。この感情は何だろう。