エチュード〜さよなら、青い鳥〜
「初音は、ドイツに帰るのか?」

「もちろん。まだまだマーシャの元で勉強したいし」

「ドイツに、涼音のパパになる相手も居る?」

その問いに、初音は愚問といわんばかりにため息をついた。

「恋愛する余裕なんて無いわよ。そんなことに費やす時間があればピアノを弾かなくちゃ。マーシャは厳しいの。クラウゼ教授も容赦なくコンクールにコンサートにとスケジュールバンバン入れてくれるから、毎日ピアノ漬け。ピアノの合間に子育てしているようなものよ」

「…そうか」


初音の答えを聞いて、涼は小さく笑った。



涼は、初音の腕の中でうとうとしている涼音を見た。
それから、初音へと視線を移す。


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