エチュード〜さよなら、青い鳥〜
ハインリヒの病状は、次第に安定してきていた。
年が明けたらドイツに戻る予定だ。

クラウゼ教授は仕事のためドイツに戻って行ったが、マーシャはハインリヒたっての希望で日本に残っていた。おかげでマーシャは年内の欧州での仕事を全てキャンセルすることになった。

ハインリヒと二人暮らしなんて絶対イヤだというマーシャは、初音と涼音も一緒なら、と駄々をこねた。
それで現在は、日本のハインリヒの邸宅で一緒に暮らしている。


「なんで、私なのさ。新しい恋人を作るか、娘のディアナと暮らせばいいだろ?」

「ディアナには家族がいるだろう?悪いじゃないか。
僕はね、最高の音楽に囲まれて暮らしたいんだ。マーシャとハツネなら叶えてくれるじゃないか。それに、天使のようなスズネにも癒される」


ハインリヒはマーシャのワガママに付き合いつつ、時折演奏会に参加したりしながら、ゆったりと過ごす日々だ。



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