エチュード〜さよなら、青い鳥〜
ーー私と涼も、そうなれるかな。
彼は今日も忙しそうだ。片手に手帳、片手にペン、耳に当てた電話を肩で押さえながら、何やら話をしている。
元々素質があったのか、初音のマネージャーとしての仕事は、かなりサマになってきた。おかげで初音もピアノだけに集中することが出来る。
涼音の父親としても、満点だ。子育てに協力的で涼音もよく懐いている。
ただ一つ、初音との距離だけは、マネージャーとピアニストのまま。
一緒に過ごす時間が増え、初音にも変化が起きていた。心の奥底で燻っていた恋心が、少しずつ大きくなっていることに、気づかずにいられない。
涼は、昨日のようにヤキモチを焼いてくれるくらいには、初音のことを女性として見てくれているとは思う。
だけど、どうやって距離を縮めたらいいのか、わからない。
彼は今日も眉間に深いシワを刻んで、手帳と睨みあっている。
せっかく一緒の空間にいても、彼はちっとも幸せそうじゃない。マーシャもヘンリーも涼音も、和やかに幸せオーラに包まれた時間を過ごしているのに。
彼は今日も忙しそうだ。片手に手帳、片手にペン、耳に当てた電話を肩で押さえながら、何やら話をしている。
元々素質があったのか、初音のマネージャーとしての仕事は、かなりサマになってきた。おかげで初音もピアノだけに集中することが出来る。
涼音の父親としても、満点だ。子育てに協力的で涼音もよく懐いている。
ただ一つ、初音との距離だけは、マネージャーとピアニストのまま。
一緒に過ごす時間が増え、初音にも変化が起きていた。心の奥底で燻っていた恋心が、少しずつ大きくなっていることに、気づかずにいられない。
涼は、昨日のようにヤキモチを焼いてくれるくらいには、初音のことを女性として見てくれているとは思う。
だけど、どうやって距離を縮めたらいいのか、わからない。
彼は今日も眉間に深いシワを刻んで、手帳と睨みあっている。
せっかく一緒の空間にいても、彼はちっとも幸せそうじゃない。マーシャもヘンリーも涼音も、和やかに幸せオーラに包まれた時間を過ごしているのに。