エチュード〜さよなら、青い鳥〜
これだ。


自分のピアノで誰かを幸せにできる。
これこそが、初音が目指すものだと、はっきりわかった。

目指すものが見えると、あとはどうすべきかがおのずと見えてくる。初音がコンクールに出場することで周囲は敵意に満ちるだろう。彼らの目をくらませる為に。

「四辻さん。一つお願いがあります。
コンクール出場を就職の条件にして下さい」

「落選したら、雇うということですか?
出場する前から落選のことを考えるのはどうかと思いますが。補償があった方が練習に打ち込めますか?」

「違います。コンクールに出場する建前です。
私が急にコンクールに出ると、周囲の雑音が色々うるさくなるはずなので」
< 33 / 324 >

この作品をシェア

pagetop