エチュード〜さよなら、青い鳥〜
「四辻さん、こっち」
初音に連れてこられたのは、防音室。中には立派なグランドピアノがある。
グランドピアノは、屋根と呼ばれる大きな蓋が開いており、さながら羽根を広げた鳥のような迫力と重厚さを醸し出していた。
ピアノに向かって座ると、ちょうど外が見えるように高い位置に窓がある。
窓のない方の壁面には一面作り付けの書棚があり、楽譜や音楽に関する書物やオーディオ、パソコンなどがずらりと並んでいた。
この家は何から何まで、四辻の想像を超える。
「すごいな、この部屋」
「これでも“丹下”ですから。
さて。四辻さんは、そっちの椅子に座って」
ピアノを聴くために用意してあるのだろう。皮張りでリクライニングできる立派な1人がけの椅子が二脚。勧められて座れば、座り心地も最高だ。
「では、コンクールの予選用。ベートーヴェンのピアノソナタ第21番「ヴァルトシュタイン」 Op.53 ハ長調。第1楽章」
初音が、ピアノの白と黒の鍵盤を見つめた。
息を整え、指に力を送る。
初音に連れてこられたのは、防音室。中には立派なグランドピアノがある。
グランドピアノは、屋根と呼ばれる大きな蓋が開いており、さながら羽根を広げた鳥のような迫力と重厚さを醸し出していた。
ピアノに向かって座ると、ちょうど外が見えるように高い位置に窓がある。
窓のない方の壁面には一面作り付けの書棚があり、楽譜や音楽に関する書物やオーディオ、パソコンなどがずらりと並んでいた。
この家は何から何まで、四辻の想像を超える。
「すごいな、この部屋」
「これでも“丹下”ですから。
さて。四辻さんは、そっちの椅子に座って」
ピアノを聴くために用意してあるのだろう。皮張りでリクライニングできる立派な1人がけの椅子が二脚。勧められて座れば、座り心地も最高だ。
「では、コンクールの予選用。ベートーヴェンのピアノソナタ第21番「ヴァルトシュタイン」 Op.53 ハ長調。第1楽章」
初音が、ピアノの白と黒の鍵盤を見つめた。
息を整え、指に力を送る。