エチュード〜さよなら、青い鳥〜
四辻は、しばらく社長夫妻と和やかに会話と食事をして再びピアノ室に戻った。



初音に帰ると伝えてから、帰宅しようと思ったのだ。




初音は、四辻が出入りしたとは気づいていないのか、相変わらず同じフレーズを何度も何度も繰り返し弾いていた。

何となく声をかけづらい。声をかけるタイミングを待とうと、四辻はピアノそばの椅子に再び座りながら、スマホを取り出した。

ベートーヴェンのピアノソナタ第21番「ヴァルトシュタイン」と検索してみる。

初音のピアノの音を聴きながら、画面に表示された情報を目で追った。







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