エチュード〜さよなら、青い鳥〜
「君のピアノを一番近くで聴いていていいのか?ワクワクするよ。
じゃあ俺は、君のために何をしたらいい?ピアノは弾けないよ?」

「ただ側にいてくれればいい。私にとって気の置けない存在になってほしい。
嘘やおべっかなんてない、正直な感想を聞かせて。良いものは良い。ダメなものはダメと、教えて。
そうやって、私を支えてほしい」


「わかった」


四辻は大きくうなづくと、そっと手を伸ばした。初音の頬に残る涙を、指で拭う。

このまま、キスをしたい衝動に駆られた。初音の頬に触れた手で、彼女の顔を引き寄せようとした。


だが、初音は、その手をするりと抜け、コツンと額を四辻の胸に当てた。



初音は、キスをされるなんて思ってもいなかったのだ。それどころかあまり表情が変わらない四辻に、大人の余裕みたいなものを感じてもどかしかった。
四辻の鼓動が強く早い。
それで、ようやくドキドキしているのだとわかる。


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