エチュード〜さよなら、青い鳥〜
周囲が自分に対してどう思っているか、初音はよく知っていた。

パッと見は派手な印象で、気の強い女王様のよう。見た目では、ピアノなんて弾きそうに見えないと、よく言われる。


同性には好かれないが、異性は寄ってくる。
あくまで“寄ってくる”だが、周りはそう思っていないようだ。取っ替え引っ替え、男と遊んでいると思われている。何しろ、自分の武勇伝として『あのアリオンの丹下初音と寝た』と吹聴する男が多いからだ。


事実とは違うが、あえて訂正しない。否定するのも面倒だし、勘違いされたところで痛くもかゆくもない。勝手に言わせておいた。気にもしていなかった。


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